间接正犯

间接正犯 実行行為, 間接正犯 間接正犯論 大谷,大谷實『刑法講義総論 新版第,版』，,::;年， 前田,前田雅英『刑法総論講義 第,版』，,::,年， 西田,西田典之『刑法総論』，,::,年， 井田,井田良『刑法総論の理論構造』，,::,年， 井田?犯罪論,『犯罪論の現在と目的的行為論』，,,,,年， 川端,川端博『刑法総論講義 第,版』，,::,年， 町野,町野朔『刑法総論講義案?』，,,,,年， 松宮,松宮孝明『刑法総論講義 第3版』，,::,年， 曽根,曽根威彦『刑法の重要問題総論 第3版』，,::,年， 団藤,団藤重光『刑法綱要総論 第3版』，,,,:年， 大塚,大塚仁『刑法概説総論 第3版』，,,,;年， 藤木,藤木英雄『刑法講義総論』，,,,;年， 福田,福田平『全訂刑法総論 第3版』，,,,,年， 中山,中山研一『刑法総論』，,,,,年， -,1,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 構成要件各論?実行行為, 第, 間接正犯の意義と本質 , 間接正犯の意義，大谷156頁,前田427頁,西田306頁,川端515頁， (1) 道具理論，前田427頁， 実行行為は,行為者自らの手で行われるのが通常である。この場合を直接 正犯という。 しかし,これもよく観察すると,凶器などの道具の助けを借りている場合 が少なくない。 この場合,道具は行為者の手の延長であり,道具の動きは行為者の行為そ のものだと見ることができる。 そうだとすると,他人を自己の意のままに使って,その者の動作や行為を あたかも一種の道具として自己の犯罪に利用する場合には,規範的な評価の 問題としては,自ら手を下して,その実行行為をしたのと同一に考えること ができるであろう。このような考えを道具理論という。 (2) 定義 このように,他人を道具として利用し,実行行為を行う場合を間接正犯と いう。 ,間接正犯を,利用者と呼び,利用される者を被利用者と呼ぶ。 (3) 共犯論との関係 間接正犯は,他人を利用して犯罪を行う場合であるので,教唆犯との区別 が問題となる。そして,間接正犯と教唆犯とを区別するということは,正犯 と共犯を区別するという問題でもある。そこで,間接正犯は,共犯論の中で 論じられることもあるが,間接正犯は,他人を利用して実行行為を行うとい う正犯の実行行為の態様の一つであることから,実行行為に関連して個々で -,2,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 論じることとする。 , 条文の根拠 (1) 罪刑法定主義に反しない 刑法典には間接正犯の概念を認めた明文の規定ないが,間接正犯は上記の ように他人を道具として利用することにより,結局は自ら実行行為をしたも *1のと評価されるものであるから,普通の正犯と同じであり,解釈上これを 認めたとしても罪刑法定主義に反するものではない。 (2) 共同正犯,教唆との区別 ところで,他人の行為を通じて,間接的に犯罪を実現する形態としては, 他に共同正犯，60条，と教唆犯，61条，がある。 間接正犯も他人を通じて犯罪を行うのであるから,これとの区別について は考えなくてはならない。 ? 共同正犯との区別 共同正犯は他人とともに自らも実行行為を行う形態である，共同実行，が, 他方,間接正犯の場合は,道具となる者は当該犯罪との関係では正犯ではな く,間接正犯のみが,当該犯罪の実行行為を行うものである。 共同正犯,共同者全員が正犯 ? 教唆との区別 者教唆犯は,自らは実行行為を行わず,他人をそそのかしてその他人に実 行行為をさせる形態であるのに対し,間接正犯は,他人を道具として自ら単 独で実行行為を行う犯罪形態である点に差異がある。 教唆,被教唆者のみが正犯 , 正犯の概念と間接正犯 ここで,「正犯」の概念について若干触れておきたい。 この概念は多義的であるが,基本的には,正犯とは「自ら犯罪を実行した者」 であると定義することができる。 ,*1 正犯そのものに他ならないから,間接正犯という概念は不要だということもいえるが,正犯の特殊形態として,分類して絞 殺することは意味があるあし,人を利用するという点で,共犯との区別が曖昧になるので,間接正犯という概念の 内容 财务内部控制制度的内容财务内部控制制度的内容人员招聘与配置的内容项目成本控制的内容消防安全演练内容 が 問題となる。 -,3,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 「自己の犯罪を行った者」と言ってもよい。 正犯の反対概念は共犯，狭義の共犯,教唆犯?幇助，である。 共犯とは「他人の犯罪」に加担したにすぎない者である。従って,正犯と 共犯とは,「自己の犯罪」を行ったと認められるか,「他人の犯罪」に加担 したにすぎないと認められるのかにより区別することができる。 自己の犯罪 ? 正犯 他人の犯罪 ? 共犯 それでは,「自ら犯罪を実行した」又は「自己の犯罪を行った」というた めには,どのような実体が必要なのか。 有力説は「自ら犯罪を実行した」というためには,自己の犯罪意思を実現 するために自ら事態の成り行きを操作した事実，これを「行為支配」という， が必要であると解している。 このように考えると,自ら直接手を下して実行行為をした者，直接正犯， が正犯であることは疑いがないが,それ以外にも,直接手を下した事実がな くとも,自己の意思に基づき,他人を支配?利用することによって自己の行 為から生ずる事態の成り行きを思いのまま操作し,それによって所期の犯罪 事実実現の目的を遂げた者も,やはり行為支配を有していると考えられ,正 犯性を肯定することができる。 これが間接正犯である。このように,間接正犯において「道具」の利用と いわれているものの実体は行為支配にほかならないと解するのが,近時の有 *2力説の考え方である，西田307頁,大谷158頁，。 なお,正犯は,単独正犯と共同正犯とに分けることができる。単独正犯と は,,人の者が「自己の犯罪」を実現する場合であるのに対し,共同正犯は, 数名の者が共同して,それぞれ「自己の犯罪」を実現する場合である。間接 正犯は,単独正犯?共同正犯いずれについても考えることができる，共同で, 他人を道具として利用する場合など，。 ,*2 間接正犯の本質は,直接正犯と異ならない実行行為性にあると説明し,間接正犯の基準を実行行為性に求める見解が通説的 見解である，団藤154頁,大塚155頁,川端520頁，が,その実行行為性の内実を行為支配に求めることはできるだろう から,厳密に行為支配説と矛盾するものではないだろう，大谷158頁参照，。また,被利用者の規範的障害の有無を間接 正犯の成否の基準とする見解もある，曽根293頁，が,被利用者の規範的障害も,利用者の行為支配,ひいては実行行為 性有無の判定の一要素となるといえる。 -,4,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 第, 間接正犯の成立要件，大谷158頁， 間接正犯は,正犯であるから,その者が実行行為を行っていると評価でき る場合である。そして,実行行為を行っているといえる場合とは,他人を道 具として利用し自己の犯罪を実現する場合である。つまり,自己の意思によ って一方的に他人を支配?利用し自己の犯罪を実現する場合であるといえ る。 そこで,間接正犯が成立するためには,次の二つの要件が必要と考えられ る。 ? 主観的要件として,行為者は,故意のほかに,他人を道具として利用しな がらも特定の犯罪を「自己の犯罪」として実現する意思を有していることが 必要であり, ? 客観的要件としては,行為者が,被利用者の行為をあたかも道具のように 一方的に支配?利用し,被利用者の行為を通じて構成要件的行為の全部又は 一部を行ったことが必要とされるであろう。 つまり,行為者の利用行為と被利用者の行為とが間接正犯の意思によって 統一され,全体として行為者の実行行為と認められる事実がなければならな いのである。 第, 間接正犯の類型 間接正犯は,おおむね以下のように三つの場合に類型化して把握できる。 , 被利用者の行為が,刑法上の「行為」とはいえない場合，大谷159頁， 行為者の身体の動静が刑法上の「行為」と認められるためには,それが行 為者の意思によって支配され又は支配可能なものでなければならない。 下記の二つの場合には,いずれも被利用者の身体の動静は,被利用者によ って意思支配可能であると認めることができないから,利用者の行為と認め られる。このような形態は最も典型的な「道具」であるということができよ う。 (1) 被利用者が意思能力を欠いている場合,被利用者が意思能力を欠いてい る場合,すなわち是非弁識能力を全く欠いている場合には,利用者が,被利 用者を操ることは容易であり「道具」性は顕著であるといえる。 具体的には,高度の精神病者や幼児等を利用した場合がこれに当たる。 次の判例は,知的障害がある被害者自身を道具に使ったという特異な事案 ではあるが,この類型に該当するといえよう。 「被害者が通常の意思能力もなく,自殺の何たるかを理解せず,しかも被 告人の命ずることは何でも服従するのを利用して,その被害者に駐首の方法 を教えて駐首せしめ死亡するに至らしめた所為は殺人罪にあたる。」，最判 -,5,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 昭27?2?21刑集6巻2号275頁， なお,ここでいう意思能力は責任能力とは異なることに注意する必要があ る。例えば,刑事未成年者，41条，のように,責任能力がなくとも意思能力 は十分であるという場合もあり得る。 したがって,責任能力のない者を利用して犯罪を行った場合においても, 被利用者が意思能力まで欠いているときには間接正犯が成立するが,被利用 者がなお意思能力を有している場合は,被利用者を正犯者とする教唆犯，又 は,場合により共同正犯，が成立することになる。この点は刑事未成年者を 利用する場合に特に問題となる事柄であるが,今日の教育程度からすると, 刑事未成年者とはいっても,意思能力まで欠くことになるのはよほど低年齢 の場合に限られるであろう。後述の【14】最決昭58?9?21刑集37巻7号 1070頁も,刑事未成年者を利用したからといって直ちに間接正犯が成立する ものではないということを前提としているように思われる。 (2) 被利用者が意思を抑圧されている場合，大谷159頁， 意思能力があっても,被利用者が利用者によって意思を抑圧されて犯罪を 行った場合には,やはり当該犯行は意思支配可能であったとはいえないから, 厳密な意味での刑法上の「行為」とはいえない。 もっとも,利用者が被利用者に対し強制を加えても,被利用者が現に意思 を抑圧されなければ,間接正犯は成立せず,教唆犯が成立するにとどまる。 次のの最高裁決定の事案は,意思抑圧型間接正犯の典型例である。 「原判決及びその是認する第一審判決の認定したところによれば,被告人は, 当時12歳の養女Aを連れて四国八十八ヶ所札所等を巡礼中,日頃被告人の 言動に逆らう素振りを見せる都度顔面にタバコの火を押しつけたりドライバ ーで顔をこすったりするなどの暴行を加えて自己の意のままに従わせていた 同女に対し,本件各窃盗を命じてこれを行わせたというのであり,これによ れば,被告人が自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている同女を利用 して右各窃盗を行ったと認められるのであるから,たとえ所論のように同女 が是非善悪の判断能力を有するものであったとしても,被告人については本 件各窃盗の間接正犯が成立するものと認めるべきである。」，最決昭58?9 ?21刑集37巻7号1070頁。大谷159頁， , 被利用者が一定の主観的構成要件要素を欠いている場合 被利用者が一定の主観的構成要件要素を欠いている場合には,被利用者に、、、、、*3は「自己の行為が犯罪を構成する」という認識がないのであるから,これ *4もまた利用者の「道具」となっているといえる。 ,*3 「規範的障害がない」などといわれる。 *4,,,,,この類型に属する事案については,判決書の「罪となるべき事実」の中に「情を知らない某，被利用者，に，をさせ」とい -,6,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 被利用者は,自分の行為がなんら犯罪ではなく,普通の適法行為と思って いる，積極的に適法だと思う必要はない，場合,その行為を行うことについ て,規範的障害がないから,当該行為をためらいなく行うのである。 この類型に属する事案については,判決書の「罪となるべき事実」の中に 「情を知らない某，被利用者，に，をさせ」というような表現を用いること によって間接正犯であることの摘示を行うのが通例である。 (1) 被利用者が構成要件的故意を欠く場合，大谷160頁,前田431頁， ? 例えば,甲がAを殺害するために毒入り菓子の入った小包を郵便でA宅 に送り付けた場合には,殺人の故意を欠く郵便配達人を利用した殺人の間接 正犯が成立する。 この類型においては,もはや間接正犯の概念を必要としないほど利用者の 実行行為性は顕著である。 次の最高裁判決は,窃盗の故意を欠く被利用者，A?B，を利用した窃盗の 間接正犯の成立を認めたものである。 「被告人は原判示の如く9月11日頃屑鉄類を取扱っているその情を知らな いAに,自己に処分権がある如く装い,屑鉄として,解体運搬費等を差引い た価額,即ち,買主において解体の上これを引き取る約定で売却し,その翌 情を知らない古鉄回収業Bに右物件を前同様古鉄として売却し,日頃右Aは 同人において,その翌日頃から数日を要して,ガス切断等の方法により,解 体の上順次搬出したものであることが明らかであるから,右解体搬出された 物件につき被告人は窃盗罪の刑事責任を免れることはできない。」，最判昭 31?7?3刑集10巻7号955頁， ,, ? この類型に関しては,次の2点につき注意しなければならない。 ア まず第1に,ここで構成要件的故意を欠くというのは,間接正犯者が実現 しようとした当の犯罪事実についての故意を欠くということであるから,被 利用者が他の犯罪事実について故意を有していたとしても間接正犯の成立を 妨げるものではない，大谷160頁,前田432頁，。 例えば,甲がびょうぶの背後にいるAを殺害する目的で,それを知らない 乙，被利用者，に対し,そのびょうぶを射つことを命じ,乙がこれに従って 発砲し,その結果Aが死亡したとしよう。この場合,乙には器物損壊罪，刑 261，の故意があるから同罪が成立するが,他方,甲においても,乙を被利 用者とする殺人罪の間接正犯が成立すると解するのが通説である，団藤159 頁，。 イ 第2に,被利用者に過失があれば,その者につき過失犯が成立することと なるが,しかしそのことは被利用者が間接正犯者の道具であることを妨げる ものではない。 例えば,医師甲が患者Aを殺害しようと企て,毒薬入りの注射器を看護婦,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, うような表現を用いることによって間接正犯であることの摘示を行うのが通例である。 -,7,- きっと合格してやるっ;;司法試験 実行行為, 間接正犯 乙に渡した上Aに注射するよう命じ,情を知らない乙がそのまま治療薬であ ると思ってAに注射をした結果Aが死亡した場合を考える。この場合,その 注射器の中に毒薬が入っていることを看破できなかったことにつき看護婦乙 に過失があれば,乙には過失致死罪が成立するが,他面,乙にはA殺害の故 意はなかったのであるから,医師甲には故意を欠く乙を利用した殺人の間接 正犯が成立するのである。 (2) 目的犯において,被利用者が目的を欠く場合，大谷161頁,前田432頁， 目的犯に必要とされる目的のない被利用者には,上記?の場合と同様,自 己の行為が犯罪を構成するという認識がないのであるから,やはり「道具」 であるというべきである，この場合の被利用者を目的のない故意ある道具と いう，。 例えば,教材用と称して,行使の目的を欠く印刷業者ににせ札を作らせる 場合などがこれに当たる。 , 被利用者の行為は構成要件に該当するが,正当行為等の理由により,違法 性を欠く場合，大谷161頁， 被利用者の行為が構成要件に該当し,実行行為といえる場合にも，下記大 審院判例の場合には,監禁罪，,被利用者の行為が正当行為又は緊急行為等 の理由により違法性を阻却される場合には,被利用者は,自己の行為が犯罪 を構成するという認識がないのであるから,やはり「道具」と認められる。 次の判例は,拘禁が警察署員の職務執行としてなされたことが正当行為に 当たる場合である。 「被告人はA警察署に警尉として勤務中,職務執行を装いB警察署員を欺 き,阿片の密輸出の取調に仮託し同署員に対しCを同署留置場に留置方の依 頼をなし,よって情を知らざる同署員をして右Cを判示期間同署留置場に拘 禁せしめたるものなること…明瞭なるをもって,被告人の右所為は不法監禁 罪に該当すること勿論なり」，大判昭14?11?4刑集18巻497頁， また,下記最高裁判決は,医師の治療行為としての麻薬注射を利用した間 接正犯の事例である。 「被告人が,麻薬施用者である医師に対し,胃痛腹痛が激しいかのように仮 装して麻薬の注射を求め′情を知らない同人をして,疾病治療のための麻薬 注射が必要であると誤診させ,麻薬を自己に注射させた場合には,麻薬取締 法27条1項の麻薬施用罪が成立する」，最決昭44?11?11刑集23巻11 号1471頁。大谷161頁， -,8,- きっと合格してやるっ;;司法試験